2023年振り返り

2024-01-14(Su)

2023年はとりあえず年末コロナにかかった。

キレイに仕事納めから仕事始めまでの間発熱や咳を患い寝込んでいたので、まるで正月をできていないのでどこかで取り戻したい。

演劇

日本文学盛衰史ツアー

前年から続いていたツアーで青年団「日本文学盛衰史」を1月に吉祥寺シアター、伊丹アイホールで上演。

幸徳秋水役で、各幕にちょろちょろ登場し、最終的にミルクボーイのパロディ漫才をやった。漫才のコピーというのはとても楽しい作業だった。間や身振りや声のトーンを振りとして落としていく作業は、できなさも相まって自分の演技の作り方に共鳴しているなあと感じてよかった。

日本文学盛衰史は初演を観たとき、なんか最後のダンスに異常に感動してしまって立てなくなった記憶がある。

あのダンスは切実だった。もう青年団の演劇のラスト全部あの演出でもいいってくらい良かった気がする。

今になって考えれば、あそこで踊り狂うのにシンクロして感動してしまうのは、それはそれで危うさの種のような気もするけども、とにかくその時は感動した。

この演目は裏も配膳とかで大変なことになっていて、演出部と消えもの周りの係の人が奔走していて、お疲れ様だった。なのであんまりホイホイ再演できるようなものでもないかもだけど、またやりたい。

いつやるかによって、自分の年齢もあるしどの役をやってみたいとかは変わるかもなあ。

あと、東京公演の直前に古屋さんが降板してしまい、スイングとして帯同していたみなみさんが急遽代役に。
古屋さんの代役ということでプレッシャーも凄かったと思うし稽古時間もめちゃくちゃ短かったが、自分のものにしてやっていたので本当にすごい。

みなみさんのための稽古なのに他のひとが久しぶりでセリフ間違えたりたくさんしていて笑ってしまった。

百メートル・コントロールオフィサー@大阪

この演目めちゃくちゃ再演している。

自分は初演メンバーじゃないけど、それでもすでにいろんな場所にツアーで行かせてもらった。

3月は劇団の先輩、永井さんが大阪で開いた聖天通り劇場のこけら落としとして呼んで頂いた。

小さいけど天井が高くてきれいな劇場でした。なんか名作が生まれそうな雰囲気をはらんでいた。

ボウリングたくさんやって楽しかった。

世田谷シルク「工場」

世田谷シルクに声をかけて頂いて、初めて出演した。

主宰の堀川さんは無隣館の同期なのだ。そして同じく同期の石川さんも出演していて、共演久しぶりでめちゃくちゃ嬉しかった。同じく同期のしげるさんもいて、なんだか懐かしい雰囲気があった。

座高円寺も初めてだったけど、大きくてきれいな劇場だった。カフェがあるのも素敵。

久しぶりに大きな声を出したような気がして、やっぱ大きな声出すの苦手だなと思った(俳優なのに)。

最近劇団の公演が多くあまりいろんなひとと関わっていなかったので、久しぶりにはじめましてのひとたくさんの現場で人見知りをした。30歳なのに。

馬留徳三郎の一日

夏に江原でつくり、豊岡演劇祭で上演。

初演は2020年だが僕は再演から参加。

この作品めっちゃ好きになった。

初演を観れていなかったので、今回の参加にあたり初めて戯曲読んで、戯曲の時点ですでにめっちゃ好きで、実際立ち上がったものを見ても、大先輩たちの芳醇な芝居でより良い物ができていて、なんかすごく良かった。

自分の役は初演で折原アキラさんが演じていたもので、実は折原さんは僕はめちゃくちゃ尊敬しているので、プレッシャーというか、どう折原さんがやったものを演じ直すのかかなり考えた。

折原さんがすでに強烈なキャラクターを作り上げていたので、その先を考えられるようにキャラの部分はほとんどすべて踏襲した。そのうえで、年齢的に少し若くなってもいるし、ラスト付近でまた違った実感を感じてもらえるように、スケール大きい話も割りと自分に近づけるイメージでやった。

オリザさんの演出は、抽象的なことをやろうとしていてもあんまりそれと決定づけない印象があって、自分は後半割りと抽象にぶっ飛ばしてもいいような気がしていたので、塩梅が難しかった。

ラストのテツとのシーンでは、最初やったとき「もっと構成を考えて、間ももっとできていいから」みたいなことを言われて、「固まってないのばれてるー」と思っちゃったけど、演出で決められずにそう言ってもらえたのは少し嬉しかったような気もする。

豊岡演劇祭のあとはキラリ富士見、尼崎、香川、三重とツアーをまわった。

ツアーはやっぱり楽しい。香川ではちゃんとうどんを食べすぎた。

三重ではラジオに出演して宣伝する機会があった。そういうの初めてだったのでめちゃくちゃに緊張していたけど、パーソナリティの方が親切&話のススメ方がプロすぎて、身を任せていれば楽しく喋ることができた。すごい。

堀北真希と結婚するために演劇を始めた話も、導入に活用してもらえて、良かった笑

というか多分その辺もちゃんと事前に調べてくれてたんだよな、ありがたや。

円盤に乗る派「幸福な島の夜」

10月は円盤に乗る派に初出演した。

僕はカゲヤマさんのテキストのファンなので、出演できて嬉しかった。

カゲヤマさんは初めて出会ったのはもう結構前で、それ以降もちょこちょこ同じ座組になったことはあったんだけど、円盤に出たのは初めてだった。

演出作品という意味では、7・8年前?くらいになるけど一度岸井さんの戯曲を上演する企画でご一緒したことがあった。そのときはなんというか、僕自身の引き出しも少ないしなんか多分あんまり理解できてなくて、ちょっと色々反省も残る感じだった。

今回も別に全部理解しているかというとそんなこと無いんだが笑、ただ考えて、やってみることはできた。

あとで聞いた観に来てくれたひとの感想で、たしかに・・・と思うこともあって、もう少し粘って踏ん張れるとこもあったかなと思ったけど、個人的には勉強にもなったし、いい体験だった。

畠山さんとか、自分と全然違う芝居していて、僕は畠山さんみたいにはできない・・・と思っていたけど、それが実は割りと早すぎる諦めで、もっと泥臭く真似してみればよかった、と思わなくもない。最近あんまり自分をわかったような気になっていることがあって、事実そうな部分もあると思うけど決めつけ過ぎてる部分もあるんだろうなとか。にゃ。

ただやっぱり、カゲヤマさんのテキストはやっぱり良かった。なんか散文?ぽいセリフたちなんだけど、うまく言えない詩情があって、それでいてすごく身近で日常的なところが、いいなと思う。

あと固有名詞の使う量と頻度が絶妙ですよね。前ハチス企画でやった「水」でも、「ドトール」という言葉がまさにいい感じの位置に現れていて、なんか今思えばそこに感動していたなと思い出した。

このカゲヤマさんのテキストの詩情と日常が同じ位相にあるのを、あとは俳優が体と声でやる、やれればやっぱそれだけでとってもいいものが立ち上がるんだと思うんだよなあ。その「やる」っていうのをずっと、今回の稽古場でも考えている感じがあった。

技術

Nuxt3

今年はNuxt3でなにか動くものを作ろうってことで、細かいものも含めて色々手を動かしていたような気がする。

Vue2 to 3 のマイグレーションは結局リサーチとかはやったけど実際にはやらずじまい。一個めっちゃ小さいやつを書き直したりはした。

ウェブアクセシビリティ

ウェブアクセシビリティは引き続き勉強した。

本を読んだり、今年は演劇文脈のアクセシビリティの講座みたいのも視聴したりした。

代替テキストについてのブログも書いて、何人か読んだよと言ってくれた。

2024年も引き続き勉強して、演劇と繋げられそうな話題があればブログとかでも書いていきたい。

演劇文脈のアクセシビリティでは、やっぱり鑑賞サポートとか、劇場のハード部分とかが主なので、そういうアンテナも張りつつ、ウェブ文脈で意識したいこととかも考えていきたい。

ウェブアクセシビリティは、上演に至る前の予約とか情報収集に関わる部分だけど、上演に至る前なので諦められるとそれまでで、なかなか気づきづらい部分だと思う。

今年は合理的配慮の義務化も始まるので、環境の整備もどんどん意識されるとよい。

セリフ覚えアプリ

円盤に乗る派の戯曲の共有方法がウェブページにホストする形式だったので、それを活用してセリフ覚えをサポートするアプリを作ったりした。

カゲヤマさんがマークダウンエディタで書いてそれをHTMLに変換しているので、セマンティクスも割りとちゃんとしていて、パースしやすかった。

軽く「戯曲 公開」とかでぐぐっただけだけど、こういうHTMLで配信しているところって見つからなくて、もっと広まってもいいなと思った。HTMLで共有できる形式で戯曲が配信されると、こういうツールとしての2次利用もできるし、マークアップによってはPDFよりも支援技術等で読みやすいんじゃないかと思うので、もっと選択肢として広まって欲しい。

ただ単にHTMLにするだけではダメで、セマンティクスが意識されていなければならないので、その辺どのくらい浸透するかなって感じだ。

こないだの屋根裏ハイツでも、戯曲公開されていてHTMLでしたね。マークアップはちょっとdlとか使われまくっていて独特だったけど。これはどういう方法でHTML化したのか気になる。

でもdlでセリフをマークアップしたい気持ちはわかって、僕も最初そう思ったけど、一応 HTML Living Standard ではいろんなマークアップのケーススタディがあり、インタビュー形式の会話のマークアップやシナリなどは普通に p の連続でマークアップせよとある。

dlって支援技術によって扱いがまだムラがあるってのもどこかで見たことあるので、 Living Standard の例に倣うのがいいんでしょうね。

あとセリフの発話者とかト書きとかでスタイルが変わる部分は、 span でマークアップして表示側でスタイル付したほうがいい。 b とか i とかは、意味のないスタイル付込の要素で、現代ではあんまり使わないほうが良いと思う。ブラウザのスタイルも、別に太字やイタリックを保証するものではないので。

戯曲執筆ツール

戯曲を書くのに特化したオーサリングツールがあるといいのではと思って、ほそぼそ作業している。

本当は年末年始でがっとやって動くものを公開したかったけど、コロナでできなかった。

これはモチベとしては、結局戯曲を書くツールがワードとかの汎用書類作成ソフトを無理やり使ってる形なので、アクセシビリティとか考えるときに色々難しいんではというのがあるから。あと単に効率的な面でも。

たぶん、ワードでも機能やプラグインを駆使すればやりたいことができるんだけども、それはそれを扱うリテラシーが必要になってしまうし、結局インターフェースとして好きに書くという方法が露出してしまっているので、難しいよなあという。

そういうのを気にせず、ソフトのインターフェースに沿って書いていれば自然とアクセシブルになるし、シンプルに効率もいい、というものがあるとよいな、という感じ。

ただ僕自身劇作家じゃないので、完全に余計なお世話の可能性もある・・・

劇作家の人にとっての「執筆」ていうことのニュアンスとか態度がわからないので、ワードみたいに好きに書けなくなったときにどう感じるのかはちょっとわからない。

ウェブページ作成

シンプルなウェブページもNuxt3で2つ書いた。

今回はどちらも身内だったので、締切もゆるいうえデザインも割りと色々言われて、気楽にやっていたんだけど、今後完全にお客さんみたいなひとに作ることになったときとか、どう進めるのがいいのかなあといろいろ考えた。

ドメイン購入とか、ホスティング環境の管理とか請求まわりとか、そういうフリーランスのノウハウみたいのが全くない。

個人的にはWebページ作成とかも、今後請け負えたらいいなあと思うけど、いかんせんデザインまわりがくそすぎるので、そろそろちゃんと勉強して最低限のものはぽっと出せるようにしないといけない。僕のデザインのできなさに付き合いながらやってやってもいいってひとがいたらぜひ作らせてほしい笑

blednder

小原さんがお手伝いしていた内田聖良さんの展示を見に行って3D欲が刺激され、ずっと積み上げていた「Blenderの勉強」というのにも少し手を出した。

紙とペンで絵がかけないので、3Dオブジェクトでなにかしらのシェイプができあがっていくのはシンプルに楽しい。

なんか思っていたよりはスムーズにいって、まだできない・知らないことだらけだけど、本当にシンプルなものを作ることはできるようになった。

今後はモデリング技術もほそぼそあげつつ、Webというインターフェースで活用する方法も少しずつ勉強していきたい。XRとか興味あるけど、まず揃えないといけないデバイスが高額だったりしてなかなかむずいけど。

フライヤーを見るアプリ

View Transition API 使ったUIの勉強も兼ねて、フライヤーを閲覧するアプリとかすごい適当なものを少し手元で作ったりした。

劇場にあるチラシ束、あれをスマホで受け取って、選別していくアプリとかあったらいいなあみたいな。

ネビュラさん作ってくれないかなあ。

個人ではちょっと、色々コスト面で現実味ないか。あと肝心のコンテンツ部分が、結局ユーザー投稿型になるような気がしていて、いろんな劇場や劇団に営業かけるのは、ちょっとむずかしい。

かつてチラシステージというのがあったらしくて(知らなかった…)、そういうものがあると観劇無精の自分も少しハードル下がるかなあと思っている。